9  新聞の矛盾:子供の新聞配達人の消失:貧困は増加?

 新聞の報道では、日本では、貧困者の割合が増加しているという。一方、誰でも知っていることだが、新聞配達は、以前は子供、例えば高校生や中学生の、良いアルバイトになっていた。今は全く、あるいはほとんどいなくなった。大人が配達をしている。貧困が増加しているのなら、もっと働く中高生が増えても良いのではないか。それとも、貧しくなっても、働くのは嫌だ、そういう世の中になったのだろうか?

 どんな社会でも、働くのが嫌いになる、そういう人ばかりになれば、存続しようがない。働かず、スマホとゲームとテレビの生活では、社会は成り立たない。国は滅亡へ向かう。

 私が関係している果物200g運動、果物を毎日200gは食べよう、という運動がある。日本の若い人は、世界と比較して、果物を食べるのがいたって少ない。国別に比較してみると、ドンジリに近い。食べない大きな理由の一つが、皮をむくのが面倒だそうである。みかんの皮、リンゴの皮もむくのが面倒だ、しかし、もしむいてあれば食べる。いつから日本人は、そんなに怠惰になったのだろうか。

 そういう人達は、新聞を読むのも面倒であり、おそらく読まないだろう。コミックス、漫画は読んでも、新聞は読まないことだろう。 新聞は、社会格差をやかましく言う。しかし、経済的に困れば、もっと働く、ことに若い世代が働くのを嫌がらない、そういう方向に、社会をリードして行くべきだろう。そうでなければ、新聞は、怠惰になる時代の流れとともに、消えてゆく運命、少なくとも、大幅に縮小する運命に、あるように思える。

 戦後の日本は、何もなく、国全体が焼け跡になり、廃墟になっていた。どうしてそこから復興が可能になったのだろうか。働くのを全く嫌がらない世代が、一生懸命に働いたからである。日本人の勤勉さは、かっては、世界に広く知られていた。それがどこに行ったのか。それをぜひ取り戻したいものである。

 

8 栄養改善学会;がん予防と食生活

日本栄養改善学会があり、がん予防と食生活について話をしました。自由集会であり、自由に?栄養士の方々などに話した次第です。我々のがん予防と食生活に関する検討は(いわゆるWCRF報告書)、5年の歳月と、数億円の費用をかけた作業でした。世界の21人の学者が編纂委員になり、右の写真は、オックスフォード大学での、最後の編纂委員会の後の写真です。会議が済んで、さすがに皆にこやかですね。ハリー・ポッターの映画に出てくるような、天井の高いホールでの会食です。会議では、結構激しい議論が交わされました。アジアからの委員は2人で、中国から一人、日本からは私一人でした。

 誰しもがんになるのはぜひ避けたい。がんになりたい人はいない。我々のがん予防の勧告10ケ条は、そういう方々のお役にたつでしょう。がん予防を心がける方は、このホームページの、「食物・栄養・運動とがん予防」を開けて頂き、お読み下さればと思います。その中に、がん予防10ケ条もあります。がん予防に関する小冊子(Summary 要約)も求められます(その手続きを記入)。いずれ分かり易い説明を加えたものも、提供しなければいけないのだが(年内位に?)と思っています。

 

7 世界で有名な メイヨー・クリニックの 健康指針

長い夏休み? をとり、ブログを書くのをご無沙汰していました。体調不良ではと、ご心配をかけた方もいるようです。すみません。今年のブログの (4) に記した指針の英文は?という方がおられたので、英文を記します。良くできた指針だと思います。

Regular physical check-up.

・Don't neglect signs.

・Do physical exercise regularly.

・Be optimistic. When discouraged, can't expect

 good function of the body. Worry is  a poison.

・Talk loudly, be cheerful, be optimistic, be curious, do things what you like to do.

6 日本の中年男性と ヴァージンと 人口減少

CNN かBBC かどちらかだが、日本についてのニュースは、滅多に流さないのだが、上の表題で表されるようなニュースを流していた。 日本人の独身の中年男性についての、調査結果である。4人に一人が、ヴァージンだという。ヴァージンは、もちろん処女のことだが、どうも女性を知らない男性についても、ヴァージンと言うらしい。英米の常識では、とても考えられない、不思議なことなのだろう。丁寧に放映していた。

 

 日本の人口が急速に減少し、西暦3000年には、人口は半減し、5000万人ぐらいになると予想される。その後もドンドン人口が減り、日本人は消滅して行く。いま政府は、それをくい止めようと、子育て支援などに躍起だが、なぜ男性が結婚しないのか、それも考えるべき課題のようである。戦後の男女共学制度で、いつも一緒にいるために、女性に興味を失ったのか。あまりに刺激が、面白いことが多すぎで、相対的に女性に興味がなくなったのか。面白い興味のあること、例えば、テレビ、スマホ、ゲームがなくなれば、相対的に女性への関心が高くなるのだろうか。生活能力があるかどうか、家族を持てるだけの生活能力の有無、それはもちろん大切だが、他にも現在の日本には、課題があるようである。

5 英国の総選挙とその結果

リージェント・ストリート(ロンドンの美しい中心街)
リージェント・ストリート(ロンドンの美しい中心街)

英国の総選挙は、いわば世界の注目を集めた。キャメロン首相率いる保守党が、選挙前の予想をくつがえし、議会の過半数を占めて、安定政権を作った。労働党は、議席を大幅に減らし、自由民主党は、歴史的な、catastrophic 壊滅的な敗北を喫した。この総選挙を通じ、感じたことが若干有り、それを書いてみたい。全体的に、政治が安定するのは大変結構なことだが。         

 

1 各党の党首のスピーチを聞いてみて感じることは、論旨が整然とし、明快なことである。かって日本に、スピーチが、言語明瞭、意味不明瞭という、首相まで務めた政治家がおられた。政治家には、明快で論旨整然とし、国民にアピールするスピーチを、是非お願いしたいものである。

 

2 驚いたのは、スコットランドから選出された議員は、ほとんど全員が、スコットランド愛国党に属し、スコットランドの利益を強く主張し、さらに分離・独立まで求める、そういう 議員たちであったことである。中には、21歳の学生の議員までいる。人生経験のない学生である。学生が当選し、同じ選挙区の労働党の大物議員を破った。現代は、視野が狭く、自分本位の者たちの集合になったのだろうか? 独立して、外交や防衛、ポンドなど、一体どうするつもりだろうか? たまたま先の大戦で、英米がアフリカから、名将ロンメル率いるドイツ軍を、大変な犠牲を払って駆逐し、スコットランドのバグパイプの演奏隊を先頭に、入場行進をしたのを思い出した。当時の英国国民が知ったら、何と言うだろうか? なおマッサンがウイスキーを学んだのは、スコットランドであり、シャーロック・ホームズが活躍した舞台は、スコットランドが多い。

 

3 英国のBBC放送が、選挙結果を詳しく報道するのは当然だが、米国のCNNも、いわば選挙区単位の詳細な報道をしていた。まさに兄弟同士の国だな、とつまらぬことに感心した。ちなみに日本に関する報道は、サリン事件とか、大津波とか、特別な事例に限られるようである。

 

4  メイヨー・クリニックの 健康生活への勧め10ヶ条

ミネソタ州のロチェスターは田舎町だが、ここに世界に名高い、メイヨー・クリニックがある。名前はクリニックだが、世界的に評判の高い大病院である。世界中から患者さんが集まる。ヨルダンの国王も、来院し治療を受けたそうである。今は医学部もある。メイヨーが出している、健康への10の勧告のうち、いくつかを書いてみたい。

 

#2 定期的に 検診を受けること

#3 サイン(身体のちょっとした異常)を見逃さないこと

#7 規則的に(できれば毎日)エクササイズをすること (軽い運動)

#8 楽観的であること、落ち込んでおれば、身体も正常には働かない。心配は身体の毒だ

#9 バケーションを取って、仕事に関係ないことをする (息き抜きが必要)

#10  大きな声で話し、快活で、楽観的で、好奇心を持ち、やりたいことをする

 

3  5つの病気を防ぐ処方箋(副作用のない薬)

日本はこれから連休に入る。仕事を離れ、快適な気候のもとに、自由な時間が持てる。

 

「ハーバード大学医学部」から、昨日?送られてきた、上記のタイトルのメールは、連休の過ごし方に参考になるだろう。メールのタイトルを意訳すれば、ある処方箋が有る。処方箋の薬をのむ。その薬は5つの主要な病気のリスクを下げる。しかもその薬には、副作用がない(どのクスリにもほとんど副作用があるが)。英語のタイトルは:「What's the one prescription that can lower your risk for 5 major diseases --with NO SIDE EFFECTS?」

 

その薬は何かと言えば、適度のエクササイズ、運動である。5つの主要な病気とは、高血圧、心臓病、脳血管障害、糖尿病(60%も下げる)、全部のガンではないが、種々の部位のガン、である。

 

そして11種類の適度の運動の例が、図解入りで、紹介されている。健康のためには、激しい運動は必要がない。例えば長い距離を走ることなどは必要でない。苦しい思いをして、ジョギングをする必要もない。誰でも簡単にできるのは、毎日30分から1時間歩くことだろう。水泳も良いが、施設がいる。室内でできる種々のエクササイズ、スクワッドを始めとするエクササイズなど、誰でもできる。毎日の積み重ねが大切なのは、ご承知のとおりである。


2. ガンと戦うな、検診は無意味、「がんもどき」、近藤理論

道の左がカハラ公園、道の右側は、前庭の木々で見えないが、個人の住宅が並ぶ
道の左がカハラ公園、道の右側は、前庭の木々で見えないが、個人の住宅が並ぶ

近藤誠 氏の本が、何十万部か知らないが、(100万部?)、大変売れているようである。本屋に行くと、同氏の本が、たいへん目立つところに展示してある。同氏は、以前慶応大学医学部の、放射線科の講師を勤めていた。それだけ本が売れているのなら、一般の方への影響も大きいことだろう。それでこのブログにコメントを書いてみたい。

 

 同氏の主張は、要約すると、一般健診はやっても意味がない、がん検診も意味がない(役に立たない)。ガンには2種類あって、ごく小さくても転移を起こし、治療しても(手術、放射線、抗がん剤)手遅れであり、役に立たない。 もう一つは「がんもどき」のがんであり、増大する速度がたいへん遅く、ほっておいても良い(治療はかえってマイナスになる)。「がんもどき」は同氏の造語である。何れにしても、ガンはほっておくのが一番、そういう主張のように思える。 

 

 結論から言えば、基本的に無茶な主張だと思う。以下箇条書きにする。

 

1. 一般健診は、受けるべきである。体の異常があっても、自覚症状がない場合がしばしばある。血圧が異常に高い、それが健診を受けず、高血圧を自覚せず、適切な治療を受けず、50代で脳卒中でなくなった方がある(身近で、全国的に著名な人、ある分野のトップに立った人)。今でも何かにつけ思い出しては残念である。今の医学では、高血圧のコントロールは容易なのだが。

 クリニック、病院、地区での健診、なんであっても良いが、年一回の健診はぜひ受けるべきだと思う。近藤氏は、慶応大学での健診を、決して受けなかったそうだが、不思議な事である。

 

2. かって著名なジャーナリスト(逸見さん)が、胃がんで手術を受けたが、再発した。そしてさらに徹底した手術を受けた。再手術して数ヶ月後に亡くなった。近藤氏はその再手術を強く批判する。私は具体的にはそのケースを知らないのだが、恐らく再発後の徹底的な手術は、返って寿命を縮めた可能性が高い?のではと思う。すでに転移が明らかなガンは、手術をしないのが基本なのだが。

 

3. 多くのがんは、「がんもどき」で、放置しても大きくならない、という主張は無茶な話で理解できない。それを真に受けて、放置する人があれば悲劇である。潜伏ガン(前立腺や甲状腺)の場合、死後に組織を取り出し、薄い切片に切って顕微鏡で検査すれば、40%の人に、潜在性のガン組織が見つかる、そういう研究報告はある。しかし臨床的に認識できる明らかなガン、それを放置されたらたまらない。治療を受けるのは当然過ぎる話である。悲劇が起こらないよう希望したい。

 

4. 同氏は、乳がんの治療で、乳房温存療法を日本で普及した、功労者のようである。以前は乳房全体を切除していた。いまは初期であれば、腫瘍の部分のみくり抜き、乳房を温存し、あと放射線照射を行う。患者さんの負担は、温存療法の方がはるかに軽い。同氏はこの治療法を米国で学び、日本で普及した由で、これは大きな功績であろう。しかし当時最善と信じ、乳房を全部切除していた外科医は、やっている手術が近藤氏から「犯罪行為」だと書かれては(あるいは編集者が書いた見出し?、文藝春秋?)、大変憤慨しても不思議ではない。そして慶応大から追い出そうとした由。手術法のどちらが良いかは、無作為に2群に分け、異なる手術法で手術し(無論患者さんの同意のもとに)、術後の5年、10年後の成績で比較し、判断すべきだろう。実行には大きな困難がともなう。しかしどちらが良いか、その判定には必要な事だと思う。 

 

1.  元気をもらえる素晴らしい方達

 年の初めですので、長寿で素晴らしい方達、元気をもらえる四人の方達のことを書いてみます。 

   まず、百歳を超えた日野原先生。いつか聖路加国際病院の前の道を、友人と歩いていたら、先生とばったり出会った。「この4月から、聖路加病院の院長をすることになりました」「失礼ですが、おいくつになられましたか?」「80歳になりました」。こんな会話を思い出します。80歳になって、病院長をやめる人はいても、新たに病院長になる人は他にはいないでしょう。今でも、毎週教会に行かれるのでしょうか。お父さんは、たしか牧師さんでした。

 

 次は、茶道裏千家大宗匠の千玄室さん。特攻隊の生き残りの方ですから、年齢は想像がつくでしょう。今でも背筋をぴんと伸ばし、精力的に仕事をこなし、海外にもよく行かれる。国際交流に努力しておられる。すごい方ですね。

 

 相沢英之さん、有名な女優さん、司葉子さんのご主人。軍に召集され、戦後は不法にロシアに長く抑留され、辛酸をなめた方です。大蔵省を経て、政治家としても有名な方でした。そのブログを読むと、実に立派な内容です。90代の半ばでしょう。すごい方だと思っています。有名な歌手だった、三波春夫さんも、シベリア抑留組でした。

 

 原志免太郎先生。男性の長寿日本一になった方です。お灸の大家でした。私と同門(同じ教室)の先生です。学位論文(医学博士)の研究で、兎にお灸をし、兎の血液に、免疫を強

める細胞が増えることを確認しました。これが日本で最初の、お灸と健康の関係を調べる、科学的な実験でした。日本一の長寿(男性)とはすごいですね。白いあご髭を長くのばし、104歳まで診療されました。(もぐさを頂き、お灸のやり方を習い、三里にしばらくお灸をしてみましたが)

 

 日本は若い人口がどんどん減って来た。年をとっても、老けこむのではなく、それなりに社会に役立つ、それが求められる時代になりました