米国は、かって財政の赤字、貿易収支の赤字を抱え、大変困っていた時期があった。それがいわゆる、奇跡の復活を遂げる。私自身も、米国がこのまま衰退して行くのではないか、と思った時期があった。
その米国が、不死鳥のように蘇る、その理由を書いてみたい。財政赤字が大きい日本の参考になる、と思うからである。
米国が立ち直ったのは、創造性、それは大変な努力を伴うものだが、その創造性、イノベーションにあると思う。具体例を上げると、ビル・ゲイツ氏は、ハーバード大学を中退し(学部の2年生か3年生)、数人でマイクロソフトを作る。そのマイクロソフト社は、世界の大企業に成長し、世界を席巻する。彼は一介の学生から、大企業のトップになり、大富豪、それも世界一の大富豪になる。一方スティーブ・ジョブス氏は、アップル社を作り、これまた世界を席巻する。アップル社は、家のガレージ(車庫)を利用して始まった、という伝説がある。私が若干知っている、ビル・ゲイツ財団(社会奉仕団体)は、4兆円の資産を持つ。年に2000億円から3000億円を慈善事業に使う。4兆円というのは、日本の年間の税収の十分の一である。
米国の大学生は、自主性が高く、また結構勉強し、努力するように思う。日本で3K、きつい、汚い、危険, それは嫌だ、と言っていては、話にならない。(世界の落伍者になる?) 図書館を夜遅くまで利用して頑張る。日本の大学生より、ずっと勉強しているだろう。 産業の分野は、時代と共に変わって行く。米国は、鉄鋼、電気製品、などの分野では、世界と太刀打ち出来なくなったが、I T の分野では、世界を制した。遺伝子の分野でも、世界を制している。イノベーションの例として、ある個人的な思い出を書くと、米国のある友人の娘さんは、高校時代から大変優秀だったが、ハーバード大学に学び、学生時代に会社を創業する。
日本も、敗戦後の廃墟の中で、チャレンジ精神が旺盛な人たちが居た。それは日本の奇跡の復興につながる。例えばソニーは、世界で初めてトランジスター・ラジオを作る。これは世界を席巻する。アフリカの、マダガスカル島の人が、現地では、トランジスターラジオを、ソニーと呼んでいる、と私に語ったのを思い出す。その前は、真空管を使ったラジオであり、今のテレビのように大きかった。 テープレコーダーも、ソニーが世界で初めてつくる。盛田さんから(井深さんと並ぶ創業者)、海外で聞いた講演だが、大きなテープレコーダーを抱え、宴席に出て、芸者さん達に使い方を教えたり、販売に苦労したそうである。当時誰も知らない新製品で、何に使ったら良いのか、よく分からない。
米国での他の強みは、世界で最も優秀な人たちが、期せずして集まってくる事である。今度ノーベル物理学賞を受賞した中村さんも、グリーンカード(永住権)か市民権をもち、米国で働く。米国に人材が集まるのは、英語は国際語で、言語の壁が低い、自由な国で住みやすい、働く上でのシステムが優れている、高い報酬が得られる、などの条件によるのだろう。
人口が減少する日本で、海外から優秀な人たちを呼び寄せる戦略を、検討できないものだろうか? (2014年12月初旬改訂)
我々の年齢の者が集まると、日本の将来が大丈夫だろうか、そういう話題が出る。日本が断崖に近づいているのは確かであり、多くの者が、そういう危機感を共有している。20年ぐらい前だっただろうか、「日本の滅亡」という題の本を出そうと思い、出版社に当たったことがあった。本のタイトルがひどいのでどうもと言われた。本当に大変な状態なのだが。
日本の人口減少が、大問題である。理論的には、40年ぐらい前に人口減少が始まった。しかし、ベビーブーム世代の人口が大きいため、年に何十万人減る、そういう形では表面に現れなかった。しかし、ベビーブームの人たちも、高齢者の仲間入りをした。その子供の、第二次ベビーブームの人たちも、かなりの年齢になり、子供を産む年齢ではなくなった。それで今後は、加速度的に、人口の減少が実際に表面にでてくる。
そして、あと200年もすれば、この国に日本人は僅かとなり(1,000万人台)、中国人、韓国人、東南アジア人の国になる可能性が高い! はなはだ残念なことだが。それ以前でも、生産に従事する人口が大きく減り、日本の経済力に、大きな打撃となろう。今世紀中に、学生の減少のため、今の日本の大学の半分以上が、赤字で存続できなくなるだろう。
専門的で恐縮だが、女性を対象とした純再生産率という指標が有り、人口の推移を最もよくあらわす。子供を産むのは、当たり前のことだが、女性であり、女性に対象を絞った指標である。人口の維持には、1.0
以上が必要である。 世界で 2や3、あるいはそれ以上の国はざらにある。 日本は長年にわたり、0.6ー0.7 であり、一世代(30年ー40年)の間に、理論的には、30-40%減少する。なおこの指標は、母の年齢別の出生率と、生命表から計算される(生命表は、生まれた子供が、母の年齢になる迄の死亡率を反映する)。 なお一般には、男女を一緒にした、合計特殊出生率が、指標として使われている。
話題を変えて、日本政府の財政状況をみると、毎年巨額の赤字を抱える。国の支出の半分は、国債に頼っている。戦争でもしており、大変な支出がある、そういう国ならともかく、平時に国の歳出の半分が借金というのは、不思議な話である。ヨーロッパで、EUに加盟を申請する場合の条件の一つは、健全な財政である。今の日本では、加盟条件は到底クリアできない。イタリアより悪い。ギリシャより悪い。どうしてこうなったのだろうか?
日本が、今や崖のそばに近づき、がけから落ちそうだ、という危機的な時に、国会ではウチワを配った、ウチワとしての価値が有る、無い、などの議論をしている。その見識の低さに、呆れざるを得ない。何のために、多額の歳費をもらって議員になっているのだろうか。現在の火急な大問題に、なぜ本気で取り組まないのだろうか!
別の角度から一言。ハーバード大学の総長が来日した。「ハーバード大学で、中国人、韓国人の留学生は、毎年ドンドン増える、一方、日本人の留学生は、毎年ドンドン減る、一体どうなっているのだろうか」と、日本を心配しての発言があった。日本の担い手は、若い世代に移って行く。この激しい国際競争に、競争に勝ち、生き残れるのだろうか、心もとない話である。電車に乗れば、スマホに夢中な若者ばかり目につく昨今だが。
2014年10月(下旬)
最近の新聞やテレビの報道では、日本国内では御嶽山の事故が、最大?のテーマであり、英米では、エボラ出血熱が、最大?のテーマであった。
エボラ出血熱は、残念ながら、収束の見通しが全く立っていない。現時点で、3500人の死者(或いは5000人以上)がでているし、中西部アフリカの3ヶ国以外の国でも発生している。米国の患者数は6名で、国を挙げて対策に努めている。リベリアの人が、その同胞を訪ね、訪米したが発病し、危篤状態だという。彼が入国後に接触した人全部を突き止め、対策を取らなければならない。大変なことである。(後記、本人は死亡し、看護に当たった看護婦が感染し発病した)
日本での患者発生も、可能性としては、十分あるように思う。なおリベリアは、日本には馴染みの少ない国だが、エボラ出血熱で、国が存亡の危機にあると言われている。どこの推計だったか、最悪の場合、世界で150万人の感染者が出る、そう推計されている由。もちろん感染症の場合、対策がうまく機能するかどうかで、患者数は劇的に変わってくる。
エボラ出血熱で、対策を困難にしているのは、その感染力の強さと、50%から90%と言われる致死率(発病者の死亡する割合)の高さである。医療従事者は、頭から足先まですっぽりカバーし、いわば異星人のような格好で医療活動をする。摂氏40度近い中西部アフリカで、大変なことである。「お金の支援はいらない、スタッフ、人を派遣してくれ」、そういう悲鳴に近い声があがっている。
現在、二つの吉田報告、慰安婦関連の吉田報告、原発事故関連の吉田調書、それに関連し、朝日新聞を追求する声がはなはだ強い。マスメディアは、国民の世論形成に大きな影響を持つ。新聞社の誤った報道、特に故意の誤った報道は、時に国を滅ぼしかねない、と思っている。
太平洋戦争の惨禍を思い出すとき、その勃発に、マスメディアの責任も大きかった、と思う。太平洋戦争は、結局日本中が廃墟になって、終戦となった。どうしてああいう馬鹿な戦争を始めたのだろうか。国力の差は歴然とし、当時日本は、石油の大部分を米国から輸入していた。
戦争に至る道を作った大きな原因は、満州国の建国であり、国際連盟からの脱退にあった。そして、マスコミの責任も甚だ重かった。満州国建国に憤激した中国は、国際連盟に提訴し、連盟は、リットン卿をトップとする調査団を満州に派遣した。リットン調査団の報告書は、日本の長年の満州での権益は認めるが、満州国が住民の自由意思で出来たとは認められない、というものだった。国際連盟の加盟各国は、ほとんど満場一致でこの報告書を受け入れた。一方日本の殆どの新聞は、リットン報告書を強く非難し、連盟からの脱退を求めた。そして日本は連盟を脱退し、世界の孤児となる。ヨーロッパの異端児、いわば狂人とも言えるヒットラーと、手を組み、破滅への道を進むことになる。
かって中国の文化大革命のころ、私は、ニューヨークの国際連合に勤務するなど、海外にいたが、日本に帰ってくると、日本の新聞の大部分が、文化大革命礼賛であった。(産経新聞は例外だったが)。文化大革命で、ハエがいなくなった、などと奇妙な報道をしており、呆れたものである。無論文化大革命は、毛沢東が、その政敵を追い落とすための政治闘争であった。政敵は次々に追放され、あるいは殺された。その報いとして、毛沢東が死亡したあと、毛沢東の江青夫人、毛沢東の秘書、などが捕らえられ、監獄に繋がれた。江青夫人は監獄で死ぬ事になる。
ある新聞社の知人に聞くと、批判的な立場で、何かと批判しなければ、販売部数が伸びないと言う。そういう販売上の事情、つまり金を稼ぐために、妙な報道をされたのではたまらない。日本のマスコミが、もっとしっかりしなければ、国の前途にいわば暗雲が漂う、そういう気がする。大きな懸念材料である。
2014年9月(下旬)
前回、エボラ出血熱のことを書いた。これはアフリカでのことだが、ある国では、国の存亡を危うくする事態になっている。感染を恐れ、交通が遮断される。各国からの空路が、次々に閉鎖される。そういう状況では、国の存亡にかかわる大問題になる。
ある新聞(たしか朝日新聞)で、エボラ出血熱の死亡者より、マラリアや結核で死亡する人の方がはるかに多い、そういう記事があったようである。だが、マラリアや結核の感染を恐れ、空路を閉鎖する国はない!
いま日本は(東京)、デング熱が大きな話題となっている。デング熱は、蚊により媒介され、熱帯や亜熱帯では、ごくありふれた病気である。高熱が出て、症状は重いが、予後は一般に良い。命にかかわることは、普通に治療を受ければ、ほとんどないのでは? と思われる。
以前から、熱帯や亜熱帯の病気が、地球の温暖化に伴い、温帯の日本にも、入ってくるのではないか、との不安があった。 その不安が、現実化したように思われる。
最近の気象異常、豪雨による被害が日本のあちこちで起こる。一方米国の西海岸では、極端な降雨の不足があり、水不足が深刻になる。地球の前途に、赤信号、少なくとも、黄色の信号が出ているのは確かであろう。 2014年9月(中旬)
後記 11月を迎える現在、ようやく日本でも、エボラ出血熱が大きな話題になった。それでブログで触れるのは、一応終わりにしたい。
地球は ご承知のように 非常に狭くなった。地球のかなたの病気が、世界に蔓延する。アフリカの一地方に限局していたエイズが、世界各地に蔓延したのは、良く知られた話である。アフリカの多くの集落が、エイズのために消滅した、と聞いたことがある。若い働き手が感染し亡くなれば、扶養されている子供や老人も生きていけない。集落全体の消滅につながる。 アフリカの地方病のエボラ出血熱が、現在世界的な大問題になっている。エボラは地方の名前であり、ウイルス感染により発病する。出血熱というのは、ウイルスが血小板を壊し、そのために、全身から出血する、それでつけられた名前である。
大変恐れられている理由は、ウイルスの感染力が高く、また致死率が高い事である。日本に飛び火する可能性もある。致死率というのは、発病した人が死亡する割合で、この致死率が、80%とか90%とか言われる。発病すれば死に直結するのではたまらない。ことに、治療にあたる医療従事者に危険が迫る。しかし画期的?かも知れない出来事もある。感染して米国に帰国し、治療を受けていた医療従事者 2人が、回復し退院したというニュースである。薬の効果や副作用を確かめる治験がまだで、承認を受けていない薬、それが効果を上げたのだろうか? エボラの脅威のなかで、たった二人の例でも、注目して良いケースと思われる。 2014年9月(初旬)
笹井芳樹さん(理研・再生科学総合研究センター副センター長)が、大変お気の毒なことになった。30台の若さで、京都大学の教授に迎えられた由、さぞ優秀なサイエンティストだったのだろう。自分の命を絶つ、まことに痛ましい事で、理研の方々も、「言葉もない」、そういう状態なのだろう。
笹井さんの苦悩の原因になったのは、小保方さんをめぐる、一連の問題である。「素晴らしい、ノーベル賞クラスの研究だ」、そういう評価から、一転して論文取り下げとなり、現在の混乱状態に陥った。科学の世界は、性善説の世界である。教授が教室員の仕事を、捏造?はないか、あるいは研究所の部長が、部員の研究に、恣意的なデータを出していないか、そう考えるような世界では、研究は成り立たない。人間のする事だから、真摯に取り組んでいても、妙な結果が出てくることはある。リーダーは、常日頃から、きちんと研究室を回り、日常的にチェックする事が必要だろう。むろんチェックしていても、すべて把握できるものではないが。
性善説の世界と言えば、私が昔学生だった頃、ある科目の試験に際し「諸君は紳士だから、諸君を信用し、試験監督はしない」、そういう教授がおられた。昔米国の大学で、大学院博士課程の入学の試験を受けた時でも、監督はなかったか、あるいはあっても、形式的なものだった気がする。古き良き時代の話である。残念ながら、人の倫理面が、次第に劣化?してきたのだろうか。
サイエンスの世界とは違うが、テレビが普及する前は、映画全盛の時代だった。原節子さんという美人の大変有名な女優がおられた。彼女は海水着の姿は、決して写真にとらせなかった。入浴や、キスの写真も撮らせなかった。今の時代には、考えられない事だが。
小保方さんに話を戻せば、私は初めから、「大丈夫かな」と不安に思っていた。世間が騒ぐ大分前である。そのように何人かの親しい方に、懸念を話していたようである。何故かと理由を聞かれると困るが、研究者の雰囲気があまりにーーー? とでも答える外は無い。
今回の事件とか、「耳が聞こえない、日本のベートーベン」、ともてはやされた人の実像とか、佐世保の高1の、女子生徒の起こした事件、等々、社会が病んできたのかもしれない。佐世保の方は、お母さんは、教育の方で有名、お父さんは、弁護士で有名とか、不思議な世の中である。
終わりに明るい話題。ダウン症の書家、金澤翔子さんの話。彼女はダウン症で、とても一人では生活できない。残念ながら、生活能力はない。しかしあんな書が書ける。人の能力の素晴らしさに、驚かされる。むろんお母さんの、大変な努力があってのことである。翔子さんの書の作品の出版に際し、依頼を受け、「佛心」という作品に、コメントを書いたことがあった。たしか作品が20あり、分野の違う20人の方、例えば当時の石原都知事なども、コメントを書いていた。
私のコメント:「佛心が佛の心だとすると、その反対は、鬼の心であろう。人の世には、佛の心も鬼の心もある。最近は、鬼の心が勢力を増してきたのかもしれない。翔子さんの元気のよい佛心を眺めていると、佛の心が膨らんでくるように思われる」。
こういうコメントを書き、下手な毛筆での署名をした。翔子さんの作品は、素晴らしかったと思う。
2014年8月(下旬)
いわゆる認知症、言葉を変えると、ボケが、日本の大問題になっています。何しろ大変な数になる。ある研究会の将来予測では、人口の高齢化に伴い、10人に1人が認知症になるだろう。500万人以上がなるのでは、という事でした。そうなったら社会は成り立たない。とても介護ができない。 このブログの読者の方も、ご家族か友人に、必ず認知症の方がいるでしょう。NHKも最近総合テレビで、認知症の特集を組んでいました。
ここでは、海外からの情報を記してみます。私のブログでは、良く海外からの役に立つと思う情報を、紹介します。ことにハーバード大学医学部(および大学病院)からの情報が多い。一つには、読者の方にとり、国内の情報と重ならないから、新鮮ではないかと思うし、一つには、私の手もとに送られてくる、身近の情報(簡単に手に入る?)だからです。もちろん世界で一二を争う大学病院から、という背景もあります。
"Two ways to stay mentally sharp" メンタリーにシャープさを保ち、ボケにならない二つの方法
第一) 人は、退職後は閑になり、テレビを見たりして時間をつぶすようになります。しかしそれではボケやすい。頭がシャープであるためには、忙しくする、そして「何かをする」、それが大切です。運動の能力の場合、能力を維持するためには、毎日体を動かす必要がある。同じように、頭をシャープに保つためには、何でもよいが、「忙しくする」「何かをする」、それが大切です。もしそれが、社会への貢献になれば一番望ましい。
では具体的に何をするのか、それは、個人個人によって違うでしょう。例えば、町内会のお世話をする、ボランティアで働く、いろいろあります。趣味では、頭を使う、例えば囲碁など良いでしょう。新たに語学、例えばフランス語を学ぶ、そういうのも良いと思います。以前米国の友人の奥さまは、ご主人が亡くなった後、長く続いたお店は閉めたが、ある病院に、ボランティアとして働きに行っておられました。
以上は、マッカーサー財団(マッカーサー元帥とは無関係)が、米国で多くの人たちを、長年観察した研究結果です。それを分かり易く記しました。 (観察結果の一例:職業でも、単純な仕事より、管理的な、頭を使わなければいけない仕事の方が、より頭をシャープに保てる)
第二)もう一つは、人との接触を保ち、孤独にならないことです。人との接触では、いろんな方法がある。家族との接触、友人、親類、との接触がある。あるいは、ある団体に属する、宗教的なグループに入る、その他いろいろあります。人との接触を保つことが大切です。むろん社会に役立つような存在、接触の仕方が、一番望ましい。
一例をあげると、ボルティモアでの研究例では、ボランティアの人たちを、二つのグループに分けた。コントロールのグループ(比較群)では、特別なことはしなかった。研究対象グループ(研究群)では、小学校の生徒を、学校で、あるいは図書室で、サポートしてもらった。そうすると、長期にわたる観察で、その群(研究群)の人達は、記憶力も、メンタル面でのシャープさも、優れていた。そういう結果が出たそうです。
以上、いわば単純なことですが、それを意識し、その人の毎日の生活に反映し、実行している人は、案外少ないのではないか、と思います。
現在、サプリメント、サプリの全盛時代です。テレビでのCMがすごい。大変な費用をかけ、コマーシャルを流している。大変な収入があるのだろうと思います。
しかしサイエンスの面からみると、どれだけ確かな根拠があるのか、疑問に思います。サイエンスの面からは、サプリを飲む群(飲む人たち)と、飲まない群(専門的には、偽薬、偽の薬の投与群)とで、どう差があるのか、健康上の効果が見られるのか、検討する必要があります。CMでこの根拠を示しているのは、全くありません。(或いはほとんど無い)。有名なタレントさんが、画面に出て、にっこりしながら、体に良い、良い、というばかりでは、仕方がありません。
我々の、世界に向けたがん予防の勧告では、サプリメントは、勧められない、サプリによっては、がんの危険を高める事がある(例:大規模なフィンランドでの人を対象とした実験など)、と述べています。 これは、大勢の人を対象にした研究で、多量のあるサプリをのんだグループでは、予想とは逆に、肺がんに対するリスクが増加したのです(ただし喫煙者の場合)。(後記 サプリではなく、この成分を、天然に含む食品を食べる人は、がんへのリスクが低くなる)
もっとも、栄養不良とか、食事を十分とれないような場合は、適切にサプリを服用する、それは是非必要です。
話は変わるが、人間が元気であるためには、いわゆる「気」の持ち方が大切です。「元気」は「気」が元になっている。これを飲めば、このサプリを飲めば、元気になる、そう信ずれば、元気になっていく、そういう事はあるでしょう。元気がなくなる、例えば配偶者をなくし、意気消沈する。体調が崩れる。それは良く知られたことです。
白隠禅師が、内観の法で、自分やお弟子さんたちの結核を治した、という話は有名です。これは「夜船閑話」に書いてある。「気」によって、いかに人が変わるか、良い例でしょう。興味のある方は、分かり易く解説した「夜船閑話」を読んで下さい。
民主主義の国家では、いわゆる世論により、議員が選出され、政治が行われます。それで一般の人々が、正しい判断力を持つ、それがぜひ必要です。正しい判断力を持つためには、それなりの知識があり、勉強をする必要があるでしょう。
以前ある本屋さんに、ある健康に関する本を出版しようと相談すると、「今はそういう内容の、まともなことを書いた本は売れません」との返事でした。それでは、どういう本が売れるのか尋ねると、過激な例かも知れないが、と前置きして、「尿を飲むと健康になる」そういう本が売れます、とのことでした。
民主主義を成立させるためには、正しい情報の伝達が必要です。この点に関しては、マスコミの方達も、しっかりしてもらいたい。例えば、かっての中国の文化大革命ですが、これは毛沢東の権力闘争であった、というのは歴史的に明らかです(彼のライバルの指導者は、次々に権力を奪われ、多くの者が殺される)。当時の日本の新聞は、文化大革命で、中国にはハエがいなくなった、などと書いていました。ただし産経新聞は別ですが。私は海外にいましたが、帰国すると、日本の新聞は世界の新聞と違う、不思議なことだ、つまらぬ新聞だ(失礼)、と感じたものです。 (以下省略)
近江商人の、三方良しの商法、というのがあります。「売り方良し、買い方良し、世間良し」で、三方良しの商法です。近江商人の商売は、全国的に有名でした。
今は聞くことが少なくなりましたが、二宮尊徳翁の、風呂のお湯の教え、というのがあります。風呂の温かいお湯を、自分の方に引き寄せようと思ったら、こちらのお湯を向こうに押してやるとよい。温かいお湯が、自分の方に戻ってくる。世の中はそのように出来ている、そういう教えです。ちなみに二宮尊徳さんの銅像は、戦前は、全国の小学校にありました。まだ少年のころですが、薪を背にして運びながら、本を読んでいる、働きながら勉強している、そういう銅像です。
米国に、100年ぐらい前に、アーサー・シェルドンという人がいました。経営の学校を開き、多くの生徒を教え、多くの卒業生を出します。その中で、サーヴィス(相手のことを思う行為、思いやりの行為)の心が大切だと強調します。相手を思うサーヴィスの心は、自然界の引力の法則のように、人を引き付ける力だ、と説きます。 海の波が、寄せては返す、まずサーヴィスの波を送る、必ずそれにこたえる波が返ってくる、それが経営の根本だ、と説くのです。簡単な例を一つあげれば、患者さんのことを大事に思う、患者さんの立場に立って医療行為をする、そういう病院や診療所には、患者さんが大勢集まり、その病院やクリニックの繁盛につながるでしょう。
最近 海外から送られてきたメールです。送ってきたのは、ハーバード大学の医学部からです。今の世の中に、ストレスを感じない人はいないでしょう。どうしたらストレスに押しつぶされずに、ストレスを軽くできるのか、興味があります。ストレスを軽くする5つの方法を、翻訳し、個条書きにしてみます。
1) ポジティブに生きる。日本語で言えば、楽観的で肯定的な生活態度を、という事でしょうか。コップの半分の水が、例えとして良く引用されます。コップに半分水が残っている。ポジティブな人は、コップにまだ半分水があると思う。ネガティブな人は、半分しか水が残っていないと悲観する(私はこちらの傾向がある)。同じことでも、人により受け止め方が違う。楽観的に受け止めたいという事です。
2) 瞑想法の活用:これは面白い。米国の人たちに、瞑想が広まっている。例えば、結構座禅に興味があります。呼吸を整える。深い瞑想に入る。瞑想と言えば、白隠禅師の、夜船閑話を思い出します(内観の法で結核を治す)。去年のブログの11番目に、「瞑想法の活用」と題して書いています。
3) エクササイズ、直訳すれば運動です。これはあまり説明がいらない。 軽く運動すれば、気分爽快になる。公園に行くと、顔をしかめ、苦しげに走っている人がいる。これはお勧めではない。軽い運動が良いのです。例えば、ニコニコしながら出来る運動、ニコニコペースの運動が良い。
4) アンプラグ:プラグは栓をするという意味で、アンプラグは、栓を抜く、という意味です。つまり心が、一つ事に完全に捉われる、その事だけを考える、それではいけない。心を時にその事から解き放つ。短くても、そういう時間を持つ、それが大切です。
5) ストレスを避ける一寸した工夫: これは、単純なことでも、役に立つという事です。例えば、温かいお風呂に入る、好きな音楽を聴く、好きな趣味をちょっとやってみる、それが、ストレスを軽くするのに、役立ちます。
人生ストレスだらけですが、簡単だが、それを軽くするコツでした。
最近は オリーブオイルが、かなり使われるようになりました。日本でポピュラーになる前のことです。米国のある有名な栄養学者が、来日しました。東京で彼がお土産に、オーバーのポケットから取り出したのが、オリーブオイルの小瓶でした。彼は、オリーブオイルの中で、エクストラ・ヴァージンでないといけない、と注意します。食事でパンを食べる、その際も、バターではなく、彼はオリーブオイルを使う。健康に良い、と確信している。彼とは、約10年間、がん予防と食生活の編纂会議で一緒でした。世界の各地の会議に(年に2-3回)行き、種々議論を重ねました。
なぜしぼりたてのオリーブオイルに、エキストラ・ヴァージンという名がついているか、不思議なことですが、その由来を彼に聞いたことがあります。その由来は、想像に任せます。英米の人は、ヴァージン、処女、という名称が好きですね。英国の航空会社にも、ヴァージン・アトランティックという会社があります。キリスト教の、イエスキリストの母、マリアの処女懐妊あたりから、ヴァージンという名が、ポピュラーになったのでしょうか。
一つ注意を記すと、食事は一つの食品でなく、トータルで考えなければいけない。オリーブオイルの摂取は結構ですが、食品群で、例えば植物性の食事とか、トータルで考えるべきでしょう。このホームページに、「食物、栄養、運動とがん予防:世界的展望」と題した項目があります。どうかそれをご覧ください。
「おもてなし」という言葉が、いま流行語になっています。 おもてなしは、日本特有の言葉ですが、それに類似の意味の言葉は、世界各地にあると思います。
ハワイには、「アロハ」という言葉があります。アを低く、ロを高く、そして伸ばして発音する、アローハと発音する、なかなか感じが良いものです。意味は、愛情を持って歓待する、とでもいいましょうか。
ハワイアン(ハワイに前から住む人々)には、アロハ精神がある。素晴らしいハワイの自然の中で、アロハ精神が培われたのでしょう。
それに関係があるのか、ハワイ特有の、面白い規則があります。たとえば、海岸は(ビーチは)、パブリックのものです。ホテル所有のビーチはない。誰でも入ってこれる。海岸沿いにぎっしり家が建ち並び、海岸は見えません。しかし家の間に人が通れるだけの小さい道があり、ビーチに通じる。そこから誰でも海に出て、例えばサーフィンを楽しめる。
ハナウマ・ベイという、有名なビーチがあり、観光の名所になっています。いまは観光客で大混雑です。魚を取るのが禁止されているので、海に入れば、すぐそばを、30-40cmといった大きな魚が泳いでゆく。私よりずっと年長だが、ごく親しかった、磯島さん(日系の商工会議所の会頭)は、若いころ、ハナウマでキャンプをし、夜泊まったものだが、と言っていました。ほとんど観光客がいないし、ハナウマが閑散としていた時代のことです。
一つ余分のことを書くと、磯島さんのお店(磯島商店)は、戦前日本の海軍と取引があった。しかし軍人がむやみに威張るので、取引をやめた。それで戦争になったとき助かった。海軍との取引が続いていたら、店は閉鎖になるところだった。戦争中は何でも飛ぶように売れた、とのことでした。
ともあれ、ヒトの心が荒れる、テレビを見れば、殺人事件ばかり?放映している。おかしな事件が次々に起こる、理解できない殺人事件がおこる。その底辺には、事件を起こさないまでも、同じような心理を持っている若者が大勢いる!のでしょう。事件を起こすのは、大きな氷山の一角?でしょう。日本もここら辺で立ち直らなければ、と感じさせられる昨今です。
健康は 奇抜なことから、獲得されるものではありません。平凡な良いライフスタイルを、長年続けることから、健康な生活が生まれます。
歯が全身の健康に大切なことは、近年ますます分かって来ました。歯がなければ、早い話が、食べ物を美味しく食べることができない。よく噛むこともできない。人間の歯は、28本ありますが、私は幸い全部あり、全部自前の歯なのは、有り難いと思っています。最近インプラントをする、人造の歯を埋め込む、それが流行りですが、本物の歯には無論及びません。治療の方も大変高価だし、麻酔をかけた手術になります。それより日常の注意で、自分の歯を維持する方が良いでしょう。
どうしたらよい歯を維持できるか、それは昨年のブログに、「フロッシングの勧め」として、写真入りで詳しく書いています。「フロッシング」とは、聞きなれない言葉かもしれません。糸を使って歯間を清潔にし、虫歯を防ぎ、歯肉を守る(歯槽膿漏を防ぐ)方法です。どうかそれをご覧ください。そして健康な歯、健康な生活をされるよう願っています。
東京の選挙は、過去のものになったので、削除します。原発問題は、いまだ継続中ですが、このホームページの「原発と発がん」のところをご覧ください。
年の初めに、長寿で素晴らしい方達のことを書いてみます。
まず、百歳を超えた日野原先生。いつか聖路加病院の前の道を、友人と歩いていたら、先生とばったり出会った。「こんど聖路加病院の院長をすることになりました」「失礼ですが、おいくつになられましたか?」「80歳になりました」。こんな会話を思い出します。
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