今必要なのは ロータリーの心では?

   会議にて、シカゴ、エバンストン
   会議にて、シカゴ、エバンストン

 「日本で今最も必要なのは ロータリ-の心です」という題で、たしか2006年に小文を書きました。私(廣畑)が、福岡県のロータリーという組織のお世話をしていた頃の話です。 以前のものではありますが、今日でもこの小文を書いた頃と同様に、日本人の皆が、心をもっと大切に、豊かに持ってもらいたい(自己の利益のみ考えるのでなく)、そういう意味で、このホームページに載せております。ご一読、ご一考下されば幸いです。

  

ロータリ-の心、ロータリ-の精神は、日本で今もっとも必要なものだと思います。ロータリ-の本質は慈善ではなく、綱領(Object of Rotary ロータリーの目的) にあるように、倫理性を大事にする団体です。ご承知のように今の日本は問題が多く、強度を偽装したビルが多数発見されたり、塾の教師と小学校6年の女児の事件が報道されたりと、いろいろ考えさせられました。 新年を迎え、この平成18年を輝かしい年にするためにどうしたら良いか、改めてロータリ-の心を考えてみたいと思います。

 

 昨年末の国会の証人喚問のテレビ中継は、日本中の注目を集めました。一体どれだけの建物が、偽った構造計算で建てられたのか見当がつきませんし、もし全容が解明されたら、パニックが起こる可能性さえあります。京都のある大学の学生が塾で教師をし、小学校6年の女児を襲った事件は、正に不可解な出来事であり、国民の多くが危機感を抱いたことでしょう。ある大新聞が“愕然とさせられる”と報道していました。

 

なぜこういうことが起こるのか、いろいろ考え方があるでしょうが、私はその根源は一つであり、自分勝手な、自己主張のみ強くて得手勝手な人間が非常に増えたためではないかと思います。 ちなみに私の専門の関係で興味を持っている和歌山の砒素毒カレー殺人事件では、林 麻須美 被告が, 学校卒業時に書いた“私の人生は自由”と言う言葉が思い出されます。人生を思うままに生きる、彼女にとっては、人を殺す、人の人生を奪うのも自由の中だったのでしょう。

 

さてロータリ-の考え方は、自分勝手な生き方の正反対です。ご承知のようにシェルドンは、ロータリ-の基本にサーヴィスをおきました。“サーヴィス”は邦訳の“奉仕”より遥かに概念が広く、人のためになる行為全体を指しています。例えば電車で不自由な人に席を譲る、これもサーヴィスです。家庭でご夫人方にサーヴィスの精神(これは思いやりの精神とも言える)で接するのは大切だが、これをご夫人方への奉仕と言ったのでは意味が通りません。 広辞林は奉仕の意味として第一に“仕えまつること”と述べています。 奉仕という言葉は縦社会での意味合いが強いのです。

 

 サーヴィスと倫理の関係を考えると、サーヴィス、人のために役立つには、モラルが高くなければなりません。建物を建てる、そしてその建物に住む人の役に立つためには、当然のことながら鉄筋量を不当に減らすとか、偽った構造計算をするといった発想は生れてきません。サーヴィスからモラルに通じる、したがって以前の手続き要覧には、道徳律が記載されていました。ロータリ-の綱領が示すように、ロータリアンには立派なモラルが求められます。ロータリーの例会は、修養の場であるというのが、米山さん達の考えでした。

 

以上に関連し、ガイ・ガンディカーさんの言葉をその“ロータリ-通解”から引用してみましょう。これは当時のロータリアン達のバイブルでした。なお彼は関東大震災のとき、RI会長として、RIから莫大な義援金を日本に送ったことでも知られています。以下引用してみます。

 

ロータリー・クラブの構成と諸目的

1.会員個々人の向上

2.会員の企業を、理想と実際の両面において向上せしめること

3.会員の属す職種全体の向上

4.会員の家、町、州および国、ならびに社会全体を向上せしめること

 

ロータリ-クラブの目的は4つある、会員がサーヴィスの精神のもと向上につとめ、その属する職種の向上につとめ(ロータリアンはその職種の代表というのが伝統的な考え方)、さらに地域社会の向上につとめる、それがロータリ-の目的だという考えです。 

 

 最後に、この“人の役に立とう”と言うサーヴィスの精神は、シェルドンが言うように、より良き社会を造ると共に本人の幸せに通じるという考え方を強調しておきます。これが“最も良く奉仕するもの、最も良く報われる”というモットーが生れた所以です。また“四つのテスト”を従業員に浸透させる事により、企業を再生させたというテーラーさんのやり方にも通じるものです。 家庭でもサーヴィスの精神は、幸せな家庭を築くことでしょう。日本のことわざ、“積善の家に余慶あり”とか、“情けは人のためならず”というのも、同様な考え方を示しています。

 

人の心が、何となく荒れて行く気がする昨今、ここに述べた心を大事にし、本人が豊かで幸せな人生を歩み、同時に社会の安定と繁栄がもたらされば、と希望します。 

 

 

 本のご紹介:上に記したのは、廣畑著,「ロータリーの心と原点:基本に返ろう」という本の一つの章(第二章)です。本はすでに1万5千冊近くに達し、隠れたベストセラーになりました。本全体を、ホームページに載せるわけには行きませんが、入手ご希望の方は、下のリンクからお入り下さい。(あるいは、直接(株)エムケイスペース社、FAX 092-737-9557 に注文してください

 

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