以前 ある漁村の人たちの集団の、20年間の観察から、焼酎を多く飲めば飲むほど、肝臓がんによる死亡が多くなる、肝臓がんが焼酎を飲む量に、正比例することを研究し、観察しました。 研究結果を, 日本がん学会で発表し、日本中の新聞や週刊誌で報道されました。 この研究は、その後、英文で 国際誌に発表しました。 

 

 この研究が、いま結構インターネット上で、話題になっているようです。今は焼酎が体に良い、健康に良い、そういう風潮があり、焼酎を飲む方が多いようですが、本当はどうなのか、考えてみることが必要でしょう。

 

 ここに改めて詳しく述べよう、と思ったのですが、なかなか時間が取れません。それでブログの方で、インターネット上の記述を紹介して置きます。内容的に、問題ないと思いますので

『某漁村における肺癌および肝癌の過剰死亡に果たす喫煙および焼酎の役割』
こういうタイトルの、驚くべき研究報告です。 これは、昭和59年に発表された20年間にわたる「疫学的」調査報告(昭和59年10月 第43回日本癌学会・久留米大学医学部公衆衛生教授 広畑富雄先生)です。


《論文のあらまし》
対象 九州の某農村と漁村 1960年から20年間
   食餌調査、嗜好品調査、血液検査(血中コレステロール値など)

両地区の比較結果(死亡者数)
        全体  胃癌  肝臓癌  
   農村   75名  37名   5名   
   漁村  104名  40名  22名  
 ○癌による死亡にかなりの差異がある。
 ○胃癌では差がない。他の部位でも差がない。肝臓癌では5名と22名と大差がある。

肝臓癌について
  漁村では焼酎を好む人が多く、しかも飲む量も多い。
 
-対象の人々と、一般の人々のがん死亡率をもとにした「期待死亡数」を比較-
  (以下の「O」はアルファベットの「O」である)
   観察死亡数=O
   期待死亡数=E
  を比較(※観察死亡数とは、対象の集団で、実際に観察した死亡数。期待死亡数とは、対象の集団の人口に、一般の人たちのがん死亡率を掛けたもの)
 
*漁村では肝がんで O=22 E=5.4 と大きい差が出た。その理由は焼酎を好む人が 多いからである。
 
-そこで酒類を飲まない人、日本酒を飲む人、焼酎を飲む人を、その量ごとに分けて分析を進める-
 *酒類を飲まない人 O=2 E=1.9 で差がない。
 *日本酒を飲む人 O=1 E=1.0 で差がない。サンプル数が少なく 偶然変動が大きく 真の基準にはなり得ない。
 
*焼酎を飲む人 全体で O=18 E=2.4、 OとEの比7.5倍の危険
  ・毎日2合以上の人 O=4 E=0.2 で 20倍
  ・毎日1~2合   O=6 E=0.8 で 7.5倍
  ・毎日1合未満   O=8 E=1.4 で 5.7倍
  量が増えるとリスクも大きくなる。上記データに「量・反応関係」が認められる。


以上が昭和59年に日本癌学会で発表された驚くべき調査報告です。
 なぜ、このような衝撃的内容の論文が、社会にまったく認知されていないのでしょうか。 

 

廣畑のコメント:久留米大学時代の研究です。焼酎はアルコールの含有量が高い、アルコールは肝臓を傷める(肝臓で解毒される)。 結局量が問題です。 焼酎が体に良い、と信じられたり、多量に飲む方が見られるのは、不思議なことと思います。